味覚障害は、「味を感じにくい」、「食べ物の味が変わった」など、いつも食べている食事の味の感じ方に変化が起こる症状です。
抗がん剤による味覚障害の原因は、舌にある味覚を感じる味蕾(みらい)と呼ばれる細胞が機能障害を受けたり、味を感じて脳へ伝える味覚伝達神経が障害を起こしたり、体内の亜鉛が不足することで起こります。また、唾液減少による口腔内の乾燥も考えられます。
味覚障害だけでなく、からだの免疫力低下による口内炎や吐き気の症状もある場合は、あわせて食事の工夫が必要です。抗がん剤を投与してから数日~数週間で、味覚症状が出やすいと言われています。
味覚障害が起きると、食事の摂取量が減り、からだの栄養状態が低下する可能性もあります。においにも敏感になり、食欲不振に陥りかねません。
味覚障害にもさまざまなパターンがありますが、主に味の感じ方で分けると3つあります。
味を強く感じる、味を弱く感じる、本来の味と異なって感じる、などと表現されることが多いようです。ご自身の味覚の変化や症状に合わせて、味つけなどを工夫していきましょう。
強く感じやすい調味料や食材を控えます。濃すぎると感じる場合は、薄味にし、鰹節や昆布など天然のだし汁を上手く活用しましょう。ゆずやレモンなど香りをプラスしてみるのもおすすめです。
味をハッキリ感じやすくするため、だしを濃い目に利かせたり、香辛料や香味野菜、キムチやマヨネーズなど味の強いものでコクをプラスしてみましょう。人肌の温度にすると味も感じやすくなりますので、温度にも気を付けてみましょう。
料理を冷たくすると苦味などの感じ方が和らぎます。食材のアクや臭みをしっかり取ったり、ショウガ、しそなどで香りづけしたり、調味料をいろいろと試してみたり、食べられる味つけを見つけてみましょう。
家族や仲の良い友人などと会話を楽しみながら、一緒に食事を取ることも大切です。
食事の盛り付けを工夫したり、お気に入りの食器を使ってみるだけでも、いつもと雰囲気が変わって気分も変わります。また、「食べなければ」と考えるとつらくなってしまいます。
回数にこだわらずに、自分の食べたいときに少しだけ食べるなど、自分の食事ペースを大切にしましょう。
ヒロシ(57)
肺がんステージ4
現在57才。妻と子供2人の4人家族。
突然の肺がんステージ3宣告を受け、抗がん剤治療をメインに闘病したが、骨への転移が確認される。