血管痛は、点滴や注射を使用して抗がん剤を静脈に注入する時、血液内に入った抗がん剤が、血管に刺激を与え内皮細胞を傷つけることで起こります。
痛み的には、針が入っている周辺に赤み、痛み、腫れなどが出たり、血管がつっぱるような気がする、かたくなる、色素沈着が起こるといった症状が現れます。なるべく、太く、真っすぐな血管を選ぶと予防効果があるようです。
薬の性質以外にも、点滴の投与速度、血管の収縮によっても血管痛は起こります。他にも下記の原因が考えられます。
抗がん剤が血管の外へ漏れている場合も痛みを感じます。点滴を中止し医師の診察を受けましょう。
静脈に炎症が起こることを静脈炎と呼びますが、血栓を伴うことが多いです。血管に炎症を起こしやすい抗がん剤の種類がありますので、医師に確認してみましょう。
クリニックでは、抗がん剤治療の点滴をする際に、血管痛を和らげる対処をしています。
できるだけ刺す部位を前回と変え、関節部分を避けた血流が良くて太い静脈を選び針を刺します。静脈炎を過去に起こした血管、カテーテルや点滴ラインなど、長い間身体に留置していた静脈は避けます。
ホットパックという、温めたジェル状のパックを点滴中に使用することで、血管を温めて広げます。血管が広がることで、抗がん剤が接触するのを減らし、血管痛の緩和と予防を図ります。
抗がん剤が血管の外に漏れていないか確認します。抗がん剤の種類にもよりますが、血管外に漏れると、組織が傷つき、皮膚腫瘍や機能障害が起こる場合があります。点滴中に血管の痛み、違和感が出た場合は、看護師さんを呼びましょう。
抗がん剤の種類により、血管痛への対処法も異なります。例えば、ファルモルビシンの場合は、点滴終了後、患部を冷やすことで血管痛を防ぎます。保冷剤などを使いながら3日間は冷やしましょう。
同時に発生しやすい副作用の対策も確認する
ヒロシ(57)
肺がんステージ4
現在57才。妻と子供2人の4人家族。
突然の肺がんステージ3宣告を受け、抗がん剤治療をメインに闘病したが、骨への転移が確認される。