抗がん剤治療後は、副作用で発熱する場合があります。数時間微熱が続くと、からだのだるさにもつながります。
抗がん剤の種類や量にもよりますが、一般的に抗がん剤投与後、1~2週間ほど経つと抗がん剤の影響で白血球が減少し、病原菌に対するからだの抵抗力が弱まってしまいます。すると細菌に感染しやすく発熱も起こす場合があります。
高熱のまま放っておくと、肺炎や敗血症など重篤な感染症を起こす場合もありますので注意が必要です。発熱の状況を把握するためにも、毎日体温を測っておきましょう。朝と夜、できるだけ決まった時間に測るとよいでしょう。
大半は感染症によるものと考えられるため、38℃以上の発熱、悪寒やふるえ、のどの痛み、咳や痰、下痢や腹痛、排尿時痛、肛門痛などの症状が表れてきます。とくに38℃以上の高熱の場合は、担当医に相談し、早めに受診をしましょう。
白血球の減少により、からだの抵抗力が弱まっていると感染症を引き起こす恐れがあります。その場合は、抗生剤を使用します。
とくに38℃以上の高熱が出た場合は、抗生物質の薬をすぐに飲み始め、3日間は最低続けて服用します。心配な場合は、医療者に相談し、症状の程度を伝えましょう。
病院では、白血球の中にある好中球の減少などを確認し、重篤度の危険性があるかを判断します。リスクが低い場合は、在宅で抗生剤の飲み薬を服用します。
飲み薬には、シプロフロキサシン、クラビットなどの抗菌剤、カロナールなどの解熱剤があります。リスクが高いと判断された場合は、病院での点滴治療となり、抗生剤点滴を1~3種類使用したり白血球を増やす注射などで治療します。
まずは、手洗い、うがいをしっかり行いましょう。帰宅時、食事の前後、トイレの前後、起床時や就寝時などマメに行います。また、なるべく風邪に感染している人のそばには行かない、人混みを避けることも大事です。微熱でもしんどい場合は、無理をしないように安静にしていましょう。
最も注意すべき期間は、抗がん剤治療後の1~2週間経った白血球減少による発熱の場合です。その場合は、抗菌薬を合わせて飲むこともあり、飲み合わせが悪い薬を控えるようにしましょう。
抗菌剤の効果を下げてしまう薬として、マグネシウムを含んだ下剤、軽金属類を含んだ胃薬や鉄剤、カルシウム剤などがあります。
同時に服用する場合は、抗菌剤服用後2時間あけて飲むようにしましょう。発熱後、抗菌剤を服用しても熱が下がる傾向がない、37.5℃あたりの発熱で服用に迷う場合は、医療者に相談しましょう。
同時に発生しやすい副作用の対策も確認する
ヒロシ(57)
肺がんステージ4
現在57才。妻と子供2人の4人家族。
突然の肺がんステージ3宣告を受け、抗がん剤治療をメインに闘病したが、骨への転移が確認される。