抗がん剤には、「細胞障害性抗がん剤」と「分子標的治療薬」の2つに分類されます。
細胞障害性抗がん剤が、いわゆるがんを攻撃するが副作用が強い、一般的に「抗がん剤」を指します。分子標的治療薬は、新しいタイプの抗がん剤で、がん細胞だけを攻撃し、副作用をさす薬物有害反応が表れにくいという特徴があります。もう少し掘り下げると、特定の分子だけを攻撃し、がん細胞の増殖を防いだり、破壊します。
作用のメカニズムとしては、分子標的治療薬はがん細胞にある変性した異常たんぱく質に、分子標的治療薬が結合し、がん化を抑制する働きをすることで、がん細胞の活動を止めます。現在、がんに関する研究が進められ、がん細胞の増殖や転移は、異常な遺伝子から作られた物質が悪さをするためと考えられ、開発された薬です。
正常な細胞への影響が少ないので、細胞障害性抗がん剤に比べると、負担は軽くなってきます。臨床でも使用されるようになり注目されていますが、分子標的治療薬が効くがんの種類はまだ限られています。現在の分子生物学の進歩によって、がん細胞が持つ特徴を分子レベルでとらえ、それを標的とした薬が開発されました。
分子標的治療薬は、すべての種類のがんに効くわけではなく、現在では、白血病、乳がん、肺がんなどで治療手段として使用されています。アレルギー反応が表れ、点滴中に症状が良く見られるため輸注反応といわれる副作用の場合もあります。
分子標的治療薬のひとつに、白血病の治療薬「イマチニブ」があります。白血病を増殖される異常たんぱく質を抑える作用があります。
他には、乳がん治療に「抗HER2療法」がありますが、乳がんの中にある細胞HER2タンパクの働きを抑え、がん細胞の働きを抑える治療薬「トラスツズマブ」などがあります。
トラスツズマブは世界で初めて開発され、1998年にアメリカで承認、その後2001年に日本で保険承認された薬です。ただ、副作用が少ないとはいえ、抗がん剤と一緒に使用する治療薬のため、抗がん剤の副作用を回避することは難しいといえます。
2002年日本が世界に先駆けて承認した、肺がん治療薬「ゲフィチニブ」が話題を呼びました。
薬物性肺炎を起こして亡くなった方もいましたが、現在は、非小細胞肺がんで転移・再発した患者さんに効果があることが判明しています。今もなお、がんの増殖に関わるたんぱく質やDNAの探求が進み、薬の開発が進行されています。
ヒロシ(57)
肺がんステージ4
現在57才。妻と子供2人の4人家族。
突然の肺がんステージ3宣告を受け、抗がん剤治療をメインに闘病したが、骨への転移が確認される。